[キリギリス]

 保育の中で、時々、ボーッと一人で過ごしている子を見かけることがあります。心配になって話しかけてみても、うんともすんとも言わず、スーとどこか別の場所に行ってしまいます。こんな時、もしかしたら「何もしない喜び」を味わっているのかもしれません。園児たちを見ていると一日中ボーッとしているというよりは、その瞬間のある一時だけのようですから、やはり「何もしない喜び」に浸っていたのだと思います。

 ふと自分に当てはめてみると、「今日はたまのお休みだ―」というとき、やりたいことはたくさんあるはずなのに、なぜか何もやらずに過ごしてしまう時があります。人生において、毎日を充実し、張りのある生き方をすることはある意味ではとても大切なことでしょう。でも、時には「何もしない喜び」に包まれる時間があっても良いなと思います。アリとキリギリスのお話しでいえば、アリをやめてキリギリスになってみるといった感じですかね。

 何もしない子を、集中しない子、やる気のない子として決めつけ、追い立てるかのように、何かをやらせようとすることは、避けることができたらいいなと思います。追い立てるのでなく「こんな遊びもあるけどどう?」と提案するくらいで十分なのではないでしょうか。ボーッとできるスペースが保育園にあるといいなあ。

アリとキリギリス

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